粥日記

A fehér liliomnak is lehet fekete az árnyéka.

マカロンを食べている私も可愛い、と思う子たちは私の希望

10月1日の「キングオブコント2017」決勝戦(TBS系)、面白かったですね。
私は2007年くらいから鳥居みゆきさんが好きなのですが、『もりすぎ☆パンチ』(東海テレビ)という番組で鳥居さんと共演しているのを見て以来、かまいたちを応援しています。
なので、かまいたちが優勝して本当に嬉しかった! 濱家さんの見た目と、他人を一旦受け入れる姿勢がとても好きです。

 

なぜ今キングオブコント2017のことを思い出したかというと、ニー仏さんという方のツイートを見たからでした。

このツイートに対して「マカロンが好きな女を叩くのか」「マカロンを好きな自分が好き、の何が悪いのか」などといった趣旨の意見が寄せられています。

意見に対して、ニー仏さんは「マカロンを美味しいと感じる人がいることは否定してない(ツイート)」「かわいいところでかわいいものを食べた時に、そういう自分の振る舞いをしみじみとかわいいと思うことで、食べているものがますます美味しく感じるというのは、ごく普通にあることだと私は思う(ツイート)」とおっしゃっています。
そして、ニー仏さんは批判的な意見を「悪意」とまとめている(ツイート)ようです(違ったらすみません)。

この流れを見て、私はキングオブコント2017に出場したゾフィーというコンビのネタを思い出しました。

 

ゾフィーが決勝で披露したネタは、学ラン姿の男子学生が家出した母親を「お母さん」ではなく「メシ」「メシつくる人」と呼び続けるというものでした。
父親が制止しても気に留めず、いなくなった母親の心配ではなく自分の「メシ」の心配をし続ける男の子。私自身は、笑えませんでした。

でも、そのネタを見て「ゾフィーは実力がある」ということは感じられました。
抑止力の効かない男の子をたしなめながら話を進めるテンポの良さや、演技の雰囲気。ちょっとキングオブコメディを思い出したりして。私はそこまでお笑いに詳しくないですが、技術的には決勝まで残っただけあるなあと感心しました。

結果として、10組中8位でファーストステージ敗退となったゾフィー
講評の際、審査員のさまぁ~ず・三村さんが「お母さんはメシじゃないから……、って、見てて真面目になっちゃった」とおっしゃいました。
他の審査員が点数を下げたのも、ゾフィーのお笑いの実力がダメだったからではなく「それ、いま笑えないよね」という時流のせいだったのではないかと思います。つまり、エンタメを取り巻く世間の流れを読めていなかったということです。

 

さて、マカロンの件です。

ニー仏さんは「その指摘自体が批判だと感じるのであれば、そういう感性を嫌悪しているのはあなた自身じゃないですかね(ツイート)」とおっしゃっています。
でも、ニー仏さんのツイートは本当に「ただの指摘」「素朴な疑問」だったのでしょうか、と私は思います。

10月10日の『マツコの知らない世界』(TBS系)にスイーツファイター・桜井正人さんが出演なさったとき。
「インスタグラムに写真を載せるために、スイーツバイキングで食べきれない量のスイーツを取り、写真を撮って残す女性」に対して桜井さんが言及。インスタ女子に対してマツコ・デラックスさんが「かわいいインスタあげてもお前はブスなんだからな!」「地に足つけて生きろ!」と発言した場面のキャプチャのツイートが、賛同とともにたくさんリツイートされました。
可愛いインスタをあげているというだけで「ブス」と言われてしまうのか、と悲しい気持ちになりました(食べ物を粗末にすることがダメだというなら、その点を指摘すれば良かったのであり、必ずしも「かわいいインスタ」を引き合いに出すことはなかったと考えています)。
それでなくても「可愛いものを可愛いと言う女性」「見た目や写真に撮ったときの可愛さを大切に考える女性」は、ずっと前から揶揄の対象でした。

 

「マカロンをマジで美味いと思って食ってる女子の比率が気になった」は、ニー仏さんにとっては本当にただの疑問だったのかもしれません。
でも、普段から「可愛いものが好き」というだけで笑われたり、「ブスなのに」と言われたり、そのせいで「可愛いものが好き」と言えなかったり、それを不憫に思っていたりした人たちに投げかけた場合。
その疑問は「それ、いま笑えないよね」と受け取られたゾフィーのメシネタと同じように、たとえ価値があるとしても冷ややかに見られるものになってしまうのではないでしょうか。

 

暴力的な比喩ですが、日常的に殴られていると、目の前の人が拳を振り上げたときに体がビクッと反応してしまいます。
その人は「殴るつもりじゃなかったのに、警戒するなんて酷い」と思うかもしれませんが、普段殴られている側がビクッとなってしまうのはどうしようもないことです。それに、本当に殴るつもりがなかったのか、それとも本当は脅したり殴ったりするつもりだったのかは、普段殴られている側にはわかりません。

ビクッとしてしまう反応を「自分に対する悪意だ」と受け取るのが本当に誤りでないかどうか、ちょっと考えてみてもいいように思います。

 

Twitterという限られた文字スペースでは、私もニー仏さんと同じようなことをしてしまうことがあります。

私のこのツイートは「エロ漫画における女性の身体の断面図って、どういう要素が見る人の感情・嗜好に刺さっているのだろう?」というただの疑問のつもりでした。エロ漫画の表現の広がりだったり、性的嗜好の幅、マーケティング的な面で気になっていてのツイートです。
しかし、エアリプで何件か「こいつは断面図に親でも殺されたのか」「性嫌悪ババア」というご意見もいただきました。
普段からエロ表現に対して抑圧を感じている人にとっては、私のただの疑問も抑圧になってしまうのだなあということ。そして、(上記のツイートは連ツイだったのですが)Twitterでは連ツイまで読んでもらえるとは限らないから、1ツイートで理解してもらえなかったのは自分の書き方のせいだな、と学びを得たところです。

まあ、余談ですが。

 

ところで、最近では、「可愛いものが好きな自分が可愛いと思っているんだろ」という揶揄は、もう若い世代には何のダメージもないだろうな、という感覚があります。
ゆうこすちゃんをはじめとして、自分の好きなものを中心にSNSを楽しみ、SNSで夢を叶えている世代は「もちろんそうです」「何が悪いんですか?」と力強く返してくれそうな気がする。

「可愛いものが好きな自分が好きで、何が悪いんですか?」に、納得いく答えを提示できる人がどれだけいるのでしょうか。

ニー仏さんのツイートを見て、傷ついた人もいるとのことです。
ニー仏さんに、本当に揶揄の意図がなかったのかどうか、私にもわかりません。あのツイートに乗っかって可愛いものを愛する子をバカにしている人たちが、今後なにを考えていくのかもわかりません。

ただ、マカロンだろうが、何か他の可愛いものだろうが、別に可愛くないものだろうが、若い人たちには「私はこれが好き」「私はこれを愛おしく思う」という気持ちを大切にして、人生を楽しんでほしいと私は思います。
「可愛くないくせに」「田舎者のくせに」と思われるのが怖くて、こっそりと美味しいマカロンを買ってSNSにアップもできず1人ぼっちで食べていた大人からの、とても自分勝手な希望です。

 

 

読んでます。

 

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ほしい。