粥日記

A fehér liliomnak is lehet fekete az árnyéka.

ポソポソたまご、つるつる茶碗蒸し

300ワットで6分、300ワットで6分……。最近、マグカップと電子レンジで簡易的な茶碗蒸しをつくれるようになった。茶碗蒸しは大好き。ダイエットを気にしているときや、夜中にあたたかいものをお腹に入れたいときに、具の入っていない茶碗蒸しをふうふう冷ましながらつるつると食べると落ち着く。

少し前までは、ワット数を下げるとは思い至らなかった。うちの電子レンジのデフォルトワット数は600だ。600ワットで、吹きこぼれないように2分おきに様子を見てかき混ぜる。そうして合計5~6分温めた卵液は「茶碗蒸し」とは呼べないポソポソたまごだった(それはそれでおいしくて嫌いではなかった)。ポソポソたまごで空腹は落ち着くけれど、心は少ししょんぼりした。

何年も悩んで考えているはずなのに、いまだに「自分を大切にする」が下手だ。たぶんわたしは、わたしのことをあんまりよくわかっていない。たったマグカップ1杯のつるつる茶碗蒸しで夜中に心が落ち着くのだと気づかないまま、長い間ポソポソたまごでしょんぼりし続けてきた。つるつる茶碗蒸しの存在は知っていたし、それを禁じられてはいなかったはずなのにな。

 

つるつる茶碗蒸しが好き。最近は、ゾンビのドラマや映画と、オンラインクレーンゲームが好き。香りのしっかりしたハンドクリームが好き。東アジアっぽさを感じるデザインや色使いやキャラクターが好き。茨木のり子が韓国について書いた本が好き。パンづくりが好き。好きな先生のパンのレッスンを受けるのが好き。芸能人の写真集が好き。ユニコーンのタロットカードが好き。『バクちゃん』と『プニちゃん』という漫画が好き。半透明のプラスチックケースが好き。中学の国語の先生がいまでも好き。『魔法つかいプリキュア!』のモフルンが好き。お粥とお餅とホヤと、活きホッキ貝が好き。亡くなったおばあちゃんが好き。それから今年は、陶芸と金継ぎを好きになれたらいいなと思っている。

だけど、わたしはわたしを信じられなくて「本当に『好き』なのかな」と疑う。たとえば、それを好きと言うことで自分を演出しようとしていないか。依存ではないか、逃げ先ではないか。何かを「好き」と言っている他のひとと比べて、わたしの「好き」は薄っぺらなものではないか。誰かに何か聞かれたときに、相手に「本当に好きなんだ」と納得してもらえる熱量と情報量で応えられるか……。

昔はこんな自分ではなかった。いまは、何らかのジャッジをされることに常に怯えている。いつの間に、何を経てこうなってしまったのか。解きほぐしていきたいけれど、いまはまだ糸口が見えていない。誰かに相談してみたい気もするし、ひとの手が入るのが怖い気もする。

 

茶碗蒸しの写真じゃないけど、これはわたしが気に入っている皿と、「ガリ」という色名が大好きな箸。この箸の色名と色がとても好きだと、今日初めてあなたに伝えます。

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