粥日記

A fehér liliomnak is lehet fekete az árnyéka.

良企画。「こども野球しゅのうかいだん」を横浜DeNAベイスターズが初開催

「監督が途中から試合に出場する」
「7回に、ピッチャーがマシーンに変わる」
「誤審をなくすために、ベースにセンサーを付けて……」
「自分からやきゅうにさそう。」

こども達が考えた、野球の未来を面白くするためのアイデアだ。

2016年7月2日、「こども野球しゅのうかいだん」が開かれた。主催は横浜DeNAベイスターズ
事前募集に応募した小学5、6年生が集まり、球団社長、ゼネラルマネージャー、選手など複数の立場に分かれて野球の未来について議論をした。
その様子が動画となり、7月8日からFacebookで公開されている。

 

▼こどもと野球の未来について考える「こども野球しゅのうかいだん」

 

どうやってみんなが野球を楽しむかっていうのは
もう我々じゃなくて みんなが作っていくものだと思っています

横浜DeNAベイスターズ・池田純社長の挨拶から、こども野球しゅのうかいだんは始まる。
こども達はいくつかのチームに分かれ、自分のアイデアをどんどん付せんに書いていく。付せんを使ったブレストは、特にIT系で働く人には見慣れた光景だ。
出てきたアイデアは、こども達自身が似ている同士に分類。最終的には1つの案にまとめて発表する。

 

すぐに使えるアイデアを期待しているわけではない。
高額な参加費で収益を得ようとしているわけでもない。
今年球団創設5周年の横浜DeNAベイスターズが見据えているのは、球団の未来のファンだ。
ベイスターズを10周年、15周年と続けていくというビジョンと、強い意志がこの企画を生んでいる。

そんなことは、どの球団でもスポーツチームでも同じだろうと思ってしまう。
しかし、DeNAベイスターズはちょっと印象が違う。ファンを作ったり、ファンを呼んだりするだけではない。ファンを「育てる」ということに、実に多くの力を注いでいるのだ。
このイベント以前には「神奈川県約72万人の子どもたちへのベースボールキャッププレゼント」企画などをおこない、すでにこどもを対象とした球団の認知施策を取っている。
十分な認知活動を行い、認知の次のフェーズとしての参加型イベント。よく考えられた、長期的な計画なのだろうと思う。次の企画にも、期待が持てる。

 

今、スポーツチームにはお金がない。
優秀な選手の一番良い時期を海外に取られてしまう危機感や、終わりの見えない集客施策に追われている。つい、客を今呼び込むためだけのインスタントな企画を立ててしまう。もちろんそれはそれで必要だ。
だけど、野球に興味がない20歳にアプローチしても、野球の楽しさはなかなか伝わらない。球場に来てもらえればきっと楽しんでもらえると信じたいが、ファンでない人が球場に足を運ぶのは想像以上にハードルが高い。
もし、10歳の頃に十分に野球の楽しさを知っていたら。20歳のチケット購買層になった時、自然とチケットを買って球場に来てくれる。わざわざPR費をかけてアプローチしなくてもだ。
10歳のこどもが「野球やろうぜ」と友達を誘えば、その友達も野球ファンになってくれるかもしれない。1度でも野球に参加した経験があれば、野球見てみようかな、球場行ってみようかな、のハードルがグッと下がる。
野球の未来が広がる。

 

一番面白いのはどれなの?
自分、どれが一番好き?

池田社長がこどもに話しかける。

そうだ それ一番楽しいんだ
それをいっぱい喋ってあげて

自分のアイデアの楽しさを人に伝える経験。
そして、それを誰にも否定されず受け入れ合い、仲間とブラッシュアップしていく経験。
野球ファンだけでなく、人間を育てるのに欠かせない経験を、ベイスターズが与えてくれる。
「一人ひとりが星のように輝いて チームも、街も、元気になる」という横浜DeNAベイスターズが掲げたコンセプト。それを心から信用できる企画だった。

 

 

▼横浜DeNAベイスターズ公式サイト

www.baystars.co.jp