粥日記

A fehér liliomnak is lehet fekete az árnyéka.

【4/27~5/3】幸せがわからなくても許されたい

4月27日(月)

腹痛がつらく、出社するつもりだったが在宅勤務に切り替えさせてもらった。毛布にぐるぐる巻きになって、メールを返したり原稿やデザインをチェックしたり、請求書や契約書を作ったりなどした。

休み明けはいつもこんな感じな気がする。

4月28日(火)

会社に行くと、6月刊行の書籍のテスト色校が届いていて嬉しい。が、問題のある部分があったので対処を考えないといけない。どうしようかな。きれいにデザインしてもらって、きれいに印刷してもらったカバー。同僚も褒めてくれた。ありがたくて何度も撫でた。

家の最寄り駅に着いて、改札を出た瞬間「今日もまだ会社ですか?」とメッセージが届いた。届いたタイミングのぴったり感に少し心が弾み、「もう家の最寄り駅ですよ」と素早く返事。すると、後ほど電話しましょうとのこと。

その子の電話の料金プランは、数分以内なら何度かけても無料というものらしい。私からかけてもいいし、LINEやZoomなど方法は色々ある。でも、「数分で切る、そしてまた繋ぐ」という不便さが妙に愛おしく、いつも向こうからかけてもらい、そうしている。めんどくさいもののほうが馴染む。テクノサマタさんの漫画にそういう話があったな。

「えりかさんの声や話し方は、ゆっくりで優しいから好きです」と言ってくれて、それはちょうど私もあなたに思っていたことだよ、と思いそう伝えた。頑固でキツい性格の私も、ゆっくりで優しい話し方の私も、ぜんぶ私。

4月29日(水)

祝日だ。昨日書きかけてどうしても構成が上手くいかなかった原稿を、バーッと全部消して書き直す。最近、脳がギュッとなって狭い範囲のことしか考えられず、思うように原稿が書けない感覚がある。

「他の人がどう思うか想像するのが困難だ」という話をしたところ、「あなたはそれくらいの状態のほうがいい。もっとわがままに書いたり考えたりしたほうがいい」と言われる。そうは言っても。

自分のこと、目の前のことだけを考えるために、20代の頃はセックスをしていたなと思い出したりした。「いまここ」に目を向ける手段を、私はいまもセックスかパン生地をこねることかくらいしか持っていないのかもしれない。

4月30日(木)

こういうツイートをしたらさまざまなアカウントにめちゃくちゃ絡まれ、めんどくさい思いをした1日だった。私も捨て鉢な気分だったのでリプライを返したりコメントしたりしてしまい、疲弊。あんまり恨みを買うと殺されたりするかもしれないから、今後は控えようと反省した。

5月1日(金)

「頭が良い女が好きだから、あなたに好感を抱いている」

という旨のことを言ってくる男には警戒していたつもりなのに、年下だからか気にせず親しくしてしまっていたことに気づく。危ない危ない。「頭が良い女が好き」は「俺の話を理解できる程度に話が通じる女が好き」であり、対等に議論ができる女とか俺より知識の豊富な女とかそういうのではないのだ。議論をしてしまったり「私も知ってる」と話を広げてしまったりすると、すぐに「気に入らない女」認定を受ける。

そうならないよう、「頭が良い女が好き」な人と接するときは、馬鹿に見えない程度の馬鹿になるために標準の自分から少しチューニングをしなければいけない。目的があればそうすることもロールプレイングのようで面白いのだが、なんかもう疲れちゃったんだよな。

そう思いつつも、つい手癖で彼の知識に「へえ、そうなんだ! すごいね!」と返事してしまった。心の中で「知ってる」と思いながら。こういうことを繰り返して、私の頭の中は二つに分裂していってしまったんじゃないだろうか。

5月2日(土)

新宿と池袋に用事があり、電車に乗る外出を一日で済ますために今日に詰め込んだ。

新宿では人と会ったのだけど、その人と会ってから良いことばかり起こった。その人と会えたことがまず嬉しかったし、その人と別れてすぐにメールを確認すると、Nintendo Switch Liteの抽選販売に当選していた。なんと。応募したことすら忘れていた通販サイトの抽選だったので、本当にびっくりしたけど嬉しかった。

池袋の用事の帰り、Curry Punjeさんへ。開店時間より5分ほど早く着いてしまったので、近くの公園の鉄棒にもたれてぼんやりとした。虫がいなかったらずっとこうしていたいんだけどな。お土産にビールとチーズのおつまみを持っていくと、お礼にと冷凍カレーの試作品をくださった。また良いことが起こった。

こんな良いことが続く日は私にはなかなかないので、とても怖くなり早く寝たくなる。嬉しさで頭の中身が揺れている感じがして、帰宅途中に何度か吐きそうになった。幸せに慣れていない。

でも、「私なんかにもったいない」などと思わずに、この幸せらしき気持ちをなんとか抱きしめて眠りたい。それが、私が幸せをわかるようになるために必要なことのような気がした。怖がらず、受け取ることがわかるための一歩。

こんなことも考えたりした。

5月3日(日)

昨日Punjeさんでテイクアウトしてきたカレーを食べたらお腹がいっぱいになってしまったので、近所を少し散歩。やけに目立つ看板が出ているなと思って近づいてみると、高級食パンのお店がオープンしていた。普段はすぐ完売してしまうようだけど、たまたまあと十数分待てば買えるというタイミングだったので整理券をもらって買うことにした。ゴールデンウィーク中に食パンを作ろうと思っていたのに、買ったら作らなくなりそう。

家に帰って食パンを出してみると、さすがに一人暮らしのキッチンに対して食パン一斤の存在感がすごい。両手で持ってみる。重みよ。一斤が大きすぎて笑えてくる。買ってすぐはちぎってそのまま食べたほうがいいとの案内だったので、そのようにすると確かにおいしい。塩の味がいい。別にたくさん入っているわけじゃないだろうに、感じられる塩の味が何もつけない食パンをひょいひょいと口の中に運んでくれる感じ。

いいなあ。こういうパンを作りたいな。食べはじめたら止めたくなくなるような。

モンスターズ・インク』『崖の上のポニョ』『ハウルの動く城』を流しながら、部屋の片づけをしたがあまり捗らなかった。初めてオンライン帰省をしたら、家族が嬉しそうにしてくれて良かった。

ポニョの、車椅子に乗っていたおばあさんたちが走れるようになるシーンで、いつも泣きそうになってしまう。それはなぜなのか、自分の中でもはっきりと答えが出ていない。 

 

なんだかこれまでと比べてずいぶんと記憶のぼんやりとした週だな。

 

***過去

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