粥日記

A fehér liliomnak is lehet fekete az árnyéka.

何も持たない私を選んでくれた【#企画メシ 2019年エントリーは4/8(月)24時まで】

人生で一番最初に「企画」したことは何かと聞かれ、糸井重里は「お医者さんごっこ」と答えた。こどもの頃の遊びの話だ。

 

大人になってから、企画というものは広告屋さんとかテレビのプロデューサーとか、そういう特別な仕事をする人のものだと思いこんでいた。頭の良い人たちや、お金がたくさんある人たちが、ドーンと広告を打ってバーンと有名人を出してガーッと人を集めて。そういうものが「立派な企画」だと。

2017年、そんな認識の私にも門戸を開いてくれたのが企画でメシを食っていくという講座だった。

 

「企画」は、特別な人がするものではない。

 

幼い頃の自分を思い出す。

私は、父親に喫煙をやめてほしくて壁新聞を作っていた時期があった。
下に兄弟のいる私は、小さいこどもがいる前での喫煙によってどんな害があるか図書館で調べ、データを記載しコピーを考え、はがされてもはがされても毎週新しいアプローチの内容を家の壁に貼り続けた。あれも、きっと企画だった。

母や祖母に肩たたき券を贈ろうと思ったとき、何枚つづりにするか? なぜその枚数なのか? どんなデザインなら喜んでもらえるか? と頭を悩ませた。これも、きっと企画だった。

 

私にも企画はできる。いや、本当は誰もがもうしている。そう教えてくれたのが「企画メシ」だった。
あの年、数百名を超える応募の中からたった32人の企画生の中に私を選んでくれたことは、この先ずっと私の支えのひとつとなり続けてくれると思う。

 

その「企画メシ」が、今年も開講される。プレイベントには、主宰のコピーライター・阿部広太郎とゲストの糸井重里が登壇した。

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(Photo by MARKiii)

糸井さんとのトークイベントのレポは、近日中にアップされるのを待つとして。

 

企画でメシを食っていくは、電通のコピーライターである阿部広太郎さんが主宰している「企画する力をはぐくみ、仲間を見つける」講座だ。2015年に第1期がスタートし、今年、2019年5月からは第5期がはじまる。

隔週の講座には、毎回ゲスト講師が登壇。講座は基本的に、阿部さんとゲスト講師の対話と、企画生*1が提出した課題への講評で構成される。

 

ゲスト講師の年齢が、30~40代と限定されているのも特徴的だ。この若さで業界の第一線で活躍する講師の方々に、自分の企画書(課題)を見てもらえる機会はとても貴重。これまでの講師と今年の講師陣は、公式サイトで確認を。

講師から出される課題の意図を考え、正面突破かひねりを入れるか悩み、企てた内容を論破され、あるいは無視され、あるいは絶賛され。どんな結果でも、つらくて楽しくて刺激的な半年間になる。

 

 

私は、2017年の第3期企画生になった。

企画メシに応募するのは、阿部さんに憧れていたりゲスト講師に興味があったりという人が多いと聞いた。私はそのどちらでもない。

阿部さんがコピーライターだということは知っていて、Twitterをフォローしていた。ときどき流れてくるツイートを読んでの印象は「世界に対して優しそうな人だな」。当時は広告レビューを書いてみたいという気持ちがあったので、阿部さんの「#広告空論」というハッシュタグのツイートを面白く読んでいた。それくらいだ。

 

企画メシの存在を知ったのは、たしか応募締切当日か前日だった。

きっと私なんか選ばれるわけない。そう確信していたけれど、なんとなくエントリーのための質問項目に答えてみた。その質問が面白くて、言いたいことがどんどん出てくる。いつの間にかエントリーシートは埋まり、私はその勢いのまま、推敲もせずに送信ボタンを押していた。

 

講座の初日、阿部さんが私の回答内容について「気になって、よく覚えている」「応援している」と声をかけてくれたのを覚えている。

ただ質問に回答するのが面白くて、全然整ってなくて、実現性も実力もなくて、ただ熱だけがあって。そんな何者でもない私であっても受け入れてくれた。そして、私の熱を誰かに手渡すためにはそれをどんな風に縁取っていったらいいのかを教えてくれたのが、阿部さんと企画メシだった。

 

 

企画メシは、絶対に資格が取れるとか、絶対に仕事で昇進できるとか、そういう未来を約束する場ではない。

自分の中に炎がなくなってしまったと落ち込んでいるとき、ここに戻ってくると隠れていた火種に気づくことができる。
阿部さんに声をかけてもらえたり、阿部さんや企画生と話すと「私も、もう少しがんばりたい」と思い直すことができる。いまの近況を共有させてもらえたりも。
セーブポイントのような場所になってくれているのかもしれない。

 

もしかしたら阿部さんの意向とは違うかもしれないけど、私は、私のように「自分には何もない」とか「私は華やかな仕事じゃないし」とか、そんな風に自信のない人に企画メシに応募してみてほしいと思っている。
エントリーの質問に答えているだけでも、自分の心の火種に気づくことができるから。そして、阿部さんはちゃんとそれを見つけ出してくれる人なので。

 

 

企画メシを卒業してから、精神的につらいことが重なり私は迷走していたのだけど、今月からまた「企画」を求められる場に戻る。その選択を後押ししてくれたものは色々あるが、やっぱり「私は企画メシ3期生だ」という事実と自信の力は大きかった。

通ってみて、すぐに「行って良かった!」と実感できる講座ではないかもしれない。けど、生きていく中でジンワリと存在が大きくなっていく半年間になると、私は思う。

 

企画でメシを食っていく2019」のエントリーは、今日、4月8日(月)24時締め切りだそう。
2年前の私のように、何者でもなくても、熱に浮かされてるだけでも、少しでも心動かされたなら、ぜひ応募してみてほしい*2

 

▼「企画でメシを食っていく2019」エントリーはこちら

kikakumeshi.jp

 

▼5年目を迎えるにあたり、阿部さんが改めて「企画メシって何だろう?」を考え答えたトークイベントレポはこちら

note.mu

 

▼阿部さん自身の言葉で書かれた、企画メシ5年目への思いがこちら

note.mu

 

 

 

待っていても、はじまらない。―潔く前に進め

待っていても、はじまらない。―潔く前に進め

 

*1:受講生のことを、企画メシではこう呼ぶ。

*2:3期には、長野や京都、和歌山など遠方からみなとみらいに通っている子たちもいました。それは大変なことだし、大変さを経験していない私は「遠くても大丈夫だよ!」とは絶対に言えないけど……。ただ、遠くに住んでいるとしても、それだけで諦める必要はないよということだけ伝えたいです。