静かなお粥のほとりから

ハロヲタ18年目

地域おこし系『U.S.A.』替え歌YouTube動画6本を勝手にレビュー

2018年、日本の大ヒット曲といえば、6月6日に発売されたDA PUMP『U.S.A.』。老若男女問わない認知度の高さでは、頭ひとつ飛び抜けている。

『U.S.A.』が広い層に認知されていることを活かし、地域振興に活かそうとするアーティストや団体が現れた。発売から2ヶ月後、8月6日には宮城県在住のアーティスト・パンダライオンが「I.N.K.~カモンベイベー栗原~」という替え歌動画をYouTubeにアップロード。現在、230万再生超え。

今日は、そんな地域振興系の『U.S.A.』替え歌を6本ピックアップして紹介してみようと思う。私は宮城県出身なので、宮城県びいきでいきますー。

宮城県シリーズ

【おいでよ栗原】DA PUMP / U.S.A. (替え歌) → パンダライオン / I.N.K. ~カモンベイベー栗原~

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冒頭で言及した、宮城県在住のアーティスト・パンダライオンが制作した「宮城県栗原市」の『U.S.A.』替え歌。
PVの完成度がめっちゃ高いことは、見てもらえればわかるだろう。さらに、他の『U.S.A.』替え歌と比較して驚いたのは、歌詞の構成力! 共感や笑いを呼び、SNSでシェアされることを前提にした歌詞構成に気付いたとき、「おお……」と感嘆の声が漏れた。

多くの地域振興系替え歌は、1番の歌詞からいきなり観光地の固有名詞を出すなどして地域の宣伝をはじめる。一方、「I.N.K.~カモンベイベー栗原~」の1番の歌詞は、ほとんどが栗原市に限らない「田舎あるある」に終始している(「FM入らない場所がちらほら」、「青い軽トラだ じいちゃんだ」など)。つまり、栗原市にゆかりのない人や、全然興味がない人でも1番を楽しく聴けるということ。 

数年前に私が動画広告を制作していた頃、その部署には「動画コンテンツは最初の5秒を見てもらえれば、最後まで見てもらえる可能性が高くなる」という定説があった。いまはどうなんだろう。「I.N.K.」が1番で栗原の宣伝をすることを捨てて、がっつりアテンションを取ることに力を入れていることの効果は、あの定説の延長線上にある。
栗原がどんな場所かを紹介するのは2番から。でも、1番で心を掴まれている視聴者が「1番終わったから消そう」と考えることは少なく、せっかくだからと最後まで見てしまう。最後まで見てもらえれば、シェアしたくなる確率も高まる。見て共感してシェアしてもらうための心理的動線を、歌詞の構成によって掌握しているのだ。

すごいなー。意図的にそのような構成にしたのだと思う、私は。見ると改めて圧倒される『U.S.A』替え歌のパイオニアだ。

大崎市公認 DA PUMP / U.S.A. 替え歌 C'mon, baby オオサキ【湯ですぜ!】(エンドロール付き)

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同じ宮城県でも、「I.N.K.」の栗原市の南に隣接する大崎市の『U.S.A.』替え歌。市の公認PR動画であり、なんとDA PUMPの所属事務所の全面協力を得た事務所公認動画第一号でもある。な、なにそれ……! 大崎市のどこに、そんなことできる力があったの……?

作詞は、本家『U.S.A.』の作詞を担当したshungo.が担当。本家の人に作詞してもらってるんかい。「湯、湯、湯ですぜ!」という歌詞で始まり、大崎市の中にある温泉地・鳴子(なるこ)温泉をメインに紹介していく動画になっている。が、動画を見て驚くのは、水田や渓谷の紅葉、ダムなどの景色の美しさ。そこに馴染みのある地元民でも「こんなにきれいだったかー……」と、その価値を再認識してしまう。風景の美しさへの感謝感心はもちろん、撮影技術の向上もすごいしありがたいなと思う。

出演している古川工業高校ダンス部は、市内(県内?)では有名なダンスの上手い高校。みんなのお父さんのような伊藤康志市長も、ゆるキャラのパタ崎さんも馴染みがあって可愛い。
ただ、そういう点ではやはりちょっと“内向き”の動画になってしまった感は否めない。大崎全体ではなく特に鳴子温泉をピンポイントで押し出したいなら、こけしゆるキャラなる子ちゃん」も出したほうがわかりやすくない? とか、高校生も体育館じゃなくて景色をバックに踊れば良かったのでは……とか、ついつい欲が出る。

それでも、大勢の有志が集まって無償でこのクオリティの動画を制作したのは素直にすごい。他の地方自治体にとっても、希望になるのではないだろうか。企画とタイミングが合えば、お金をかけなくても地方でここまでできる(ちゃんと予算がつくに越したことはないんだけどね)。地方で何かを企画したい、と思っている人たちの励みになる動画だ。

■「カーモンベイビー 西日本!!」シリーズ

【西日本応援!!】カモンベイビー オカヤマ!!(DA PUMP U.S.A. アメリカ)

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【西日本応援!!】カモンベイビーエヒメ!!(DA PUMP U.S.A. アメリカ 岡山 オカヤマ)

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こちらの2つは、西日本豪雨 被災地応援動画プロジェクト「カーモンベイビー 西日本!!」のシリーズ動画。岡山と愛媛の『U.S.A.』替え歌が公開されており、今後も増える可能性がありそうだ。

2013年にAKB48恋するフォーチュンクッキー』の踊ってみた動画投稿が流行した。もう5年も前なのか。「カーモンベイビー 西日本!!」シリーズは、恋チュンを思い出すような住民総出で参加型の動画だ。
どちらも、県内のどこで撮影しているのか逐一テロップが出るのでわかりやすい。岡山バージョンでの「※特別な許可を頂いた上で撮影しております。」という行政感あるテロップと、その下で満面の笑みで踊っているふくよかなおじさんのギャップの微笑ましさに、小さく吹き出してしまった。

ほとんどの人がここ一番の笑顔で踊っているのを見ると、「いいねダンス」の良さを再確認する。
恋チュンの振り付けは難しいわけではないが、細かい動作の部分もありリズムに乗らなければいけない。そのため、素人を集めて踊ってもらうにはどうしてもバラバラになり、ときにはちょっと不安げな感じも出てしまっていた。それも味となる振り付けだったから良かったのだけど。
「いいねダンス」は、親指を立てて上下に振ってさえいれば様になる。「次の動きは何だっけ」と考えなくて良いので、慌てず戸惑わず誰でも笑顔で参加できる。小さなこども、学生たち、大人、働く人たち、おじいちゃんおばあちゃん、地元の景色を背景にみんなが笑っているというのは、なんだかそれだけで安心できる。被災地域ならばなおさらだ。

岡山バージョンは、「カモンベイビー岡山 風情ある街並み!」などとざっくりした歌詞で行くのかと思いきや、終盤には「世界に届け、児島デニム!」と、突然世界を見据えた広がりを見せてくる。本家『U.S.A.』の謎のグローバル感にマッチしている。

愛媛バージョンで気になるのは、短い時間で3体も出てくるゆるキャラ。バリィさん、みきゃん、よしあきくん(よしあきくん……?)。これを見るまではあまりゆるキャラを出す必然性を感じていなかった。けれど、こうしてパッと見でわかりやすいものを数体出されてみると、ゆるキャラがいるだけで資源の豊かさが感じられるとわかる。
バリィさんは今治タオルで有名だし、みきゃんを知らなくても一目見てすぐに「みかんのゆるキャラ」とわかる。よしあきくんは、明らかに城があり武将がいたということを示している。誰でも出せばいいというわけではなく、こうした象徴的な3体をピックアップする上手さも企画の手腕だ。

■その他 クオリティが高い or 気になったもの

DA PUMP / U.S.A.(替え歌) A.K.島.~カモンベイベー昭島~

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YouTuber・春斗が制作した東京都昭島市の『U.S.A.』替え歌。「東京の田舎とは言わせない!昭島を盛り上げたいので替え歌カバーしました。」との動機と意気込みが可愛い。
「おっ!」と思う他の『U.S.A.』替え歌との違いは、DA PUMPメンバーと同じ人数を集め、衣装を合わせてダンス部分を撮影していること。ダンスと動画の完成度とも相まって、本気さが伝わってくる。

そんな衣装やダンスに注目しているうちに、気になるテロップを連発。「※ムクドリ原因不明の大繁殖」、「※昭島市でクジラの骨が発見された」、「71歳の男性が行方不明になっております」……。昭島市、どんな場所なんだよ! とツッコみたくなるテロップの上手さ。歌詞があっさりしている分、そこで盛ってくるのはYouTuberが培ったセンスの賜物だろう。

歌詞では、「くるりんバスで ひとっ飛び 座席は全部 ファーストクラス」の部分なんか、若者なりの地元愛が感じられる(私はなぜかちょっと涙腺に来た)。東京都内なのに都心とは別物として語られることが多いことへの反発を、「都心が夜なら夜だ」という短い歌詞に込める感覚もスマートだ。

そして、終わり方がきれいだなー。若い頃から当たり前に動画撮影・制作をしている世代の底力を感じる。軽率にアジャ・コングが出演しているのも見どころなので、女子プロファンもチェックして! 私は不意打ちでめっちゃびっくりしました。

【替え歌】T.Y.M.~富山県あるある~(DA PUMP『U.S.A.』)

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最後に紹介するのは、富山県あるあるを歌った『U.S.A.』替え歌だ。紹介している動画の中では唯一、女性が歌っている。主婦の方だそうです。

富山に「カモンパーク新湊」という道の駅があるらしく、『U.S.A.』の「C'mon, baby」を「カモンパーク」に入れ替え。「C'mon, baby」の歌い出しから地元感をぶっ込めるのが他にない強みになっている。その後、富山県民の「金遣い荒いけどケチ」という県民性(?)のマイナスポイントを押し出す。いったい富山のどういう面を知ってほしいと思っているのか。

行き当たりばったり感、ゆるい歌声、いらすとやをフル活用した動画。2番は食べ物のことばっかり出てくるのでお腹が空いてくるが「富山ブラック そんなに食べない」でずっこける。一般市民が制作とはいえ、あまりにゆるい動画だと最後まで見るのは難しい。私には、これが最後まで視聴できるかどうかのギリギリのゆるさを攻めた、ある意味尖った動画に感じられた。

1番で「富山きときと空港」の意味が全然わからないという謎を残し、終盤でその謎を解く(※解けない)という構成。「きときと」の意味がわかった途端、侵食されて狂ってしまったかのような終わり。この動画から狂気を感じるかどうかは、あなた次第です。

■その他 地域振興系『U.S.A.』替え歌動画

【U.S.A替え歌】HIRO.SHI.MA DA PUMP 広島弁Ver.【来んさい】 - YouTube

【やってみた】 U.S.A. 【替え歌】 けいゆうデス〜カモン・けいゆう・宮崎〜都城市 - YouTube

#ダパンプUSAの替え歌 #DOSANKO #DSK #北海道復興応援 - YouTube

DA PUMP / U.S.A. (替え歌)→mofu モフ/A.K.B.(カモンベイベー秋葉原) - YouTube

※他にもありましたら、Twitterのリプライなどでご教示ください。

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